自然遊歩道・登山道他の災害復旧
火山登山道の災害復旧工事に携わりました
広島県呉市倉橋町にある火山(ひやま)は、瀬戸内海を一望できる絶景の山として知られ、地元の方々や観光客に親しまれてきました。しかし、昨今の豪雨災害により法面が崩壊し登山道が埋もれたり流されたりした箇所や、木製の階段や木柵が損傷し、安全に歩くことが難しい状況でした。令和元年10月、地元土木業者様から依頼をいただき、当社は現地調査と見積作成を行い、復旧工事に携わることとなりました。当社は平成初期から下請として火山登山道の造成や丸太階段、木柵の施工に関わっており、そうした経験を生かして利用者に親しまれている登山道の整備に取り組みました。

既存木製階段(丸太階段)劣化状況:崩れた地盤により基礎が露出し多くが破損していました。登山者にとって転倒の危険が非常に高い状況

土砂災害後の登山道状況:山道が土砂で埋没し、通行不能区間が多数発生
自然災害を経て、より安全な登山道へ
登山道のルート自体は従来のまま残しつつ、これまで木製だった丸太階段や木柵、人道橋などを耐久性に優れたプラ擬木やスチール製の資材へと更新しました。また、豪雨で流れた法面には土留めや植生マットによる保護を行い、登山者が安心して歩ける環境づくりに努めました。

法面の土留め設置(急傾斜での作業の為安全帯使用)

崩壊法面土留め柵設置(じゃかごを使って排水性を確保)

プラ擬木人道橋設置(人力設置による)
人力運搬と安全確保の工夫
現場はいずれも車両が入れない山道で、資材は200m〜最大600mを人力で運ばなければなりませんでした。そのため、工事に取り掛かる前に「どう資材を運ぶか」という運搬計画を綿密に立て、効率よく人員を配置しました。運搬が軌道に乗ることで、現地での組み立てや設置作業もスムーズに進みました。また、法面の土留め施工では基礎掘削の際に地山が現れ危険を伴いましたが、小型重機(ミニバックホー)を導入することで安全に作業を進めることができました。

プラ擬木階段設置(人力による運搬設置)
安心して歩ける環境を整備
工事は令和3年9月に始まり、約半年をかけて完成しました。撤去から資材運搬、設置まで計画通りに進み、復旧後の登山道はより丈夫で安心して歩ける道へと生まれ変わりました。皆さんがこの登山ルートの復旧を心待にしている様子がよくわかり、厳しい施工条件でしたがモチベーションを失うことなく施工できました。完了後、利用者から気持ちよく登山ができる様になったという感想を聞けたのが何よりでした。

プラ擬木階段

プラ擬木人道橋

法面の土留め

崩壊法面土留め柵

担当:首藤 竜朗
株式会社 カジオカL.A 本社勤務
